デジタルコンテンツ技術をテーマとした国際イベントである『デジタルコンテンツEXPO2017(DCEXPO2017)』が、10月27日(金)から29日(日)までの3日間、東京お台場の日本科学未来館で開催されています。そのDCEXPO2017内で行われている『第25回 国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC2017)』に、TAKEOがサポートしている慶應義塾大学のVRサークル『SVRC』が参加しているので体験取材してきました。
『国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト』とは、学生が企画、制作したインタラクティブ作品の、新規性、技術的チャレンジ、体験のインパクトを競うコンテストです。1993年から開催されている歴史ある大会で、これまでにVR(バーチャルリアリティ)の既成概念を拡張するような、独創的で親しみの持てる作品が数多く生み出されてきました。
予選大会は、9月に筑波大学で行われ、通過したチームが約1ヶ月のブラッシュアップ期間を経て完成した作品を東京お台場の日本科学未来館で行われる決勝大会にて実演展示。予選を通過した各チーム他、フランスのLavalVirtual学生コンテストを勝ち抜いた招待チーム、国際ビデオ部門のチームも参戦し、総合優勝の座を競う大会です。
決勝大会の会場となった日本科学未来館
コオロギはエビの味。エビはコオロギの味。
突然ですが、「コオロギなんて気持ち悪くて絶対食べられない!」って方は大勢いると思いますが、エビはどうですか?
「エビは大好物!」って方、大勢いるのではないでしょうか。この慶應義塾大学のVRサークル『SVRC』は、簡単にいえば
“コオロギをエビに変えてしまう”集団なんです。もう少し詳しく。
現在、世界では人口増加に伴う食糧問題の解決策として昆虫食が期待されていますが、多くの人が昆虫食に対して抵抗を感じている事実もあります。そこで、VRを利用し視嗅覚の代替情報を与え、感じる味覚を変化させる。そして昆虫食に対する抵抗感を和らげる。そんな体験をできるのがSVRCの『虫物の多い料理店』です。
この『虫物の多い料理店』の利用客は、「エビ味コオロギ」と「エビ味のエビ」を食べ比べ、違いを楽しむことができます。
そのユニークなアイディアとコンテンツの完成度の高さで予選大会も無事に突破し、決勝大会に進出しました。それでは、そのユニークなコンテンツをご紹介。
『虫物の多い料理店』には常に行列が。
『SVRC』のメンバーはコック服にコック帽で雰囲気づくりもバッチリ。体験前に、食事の楽しみ方やアレルギーなどの注意の説明をうけて。
ヘッドマウントディスプレイとヘッドホンを装着し、いざ実食です。
『虫物の多い料理店』本日のメニュー
・クリケット(コオロギ)のフリット ~潮風に吹かれて~
・桜エビのフリット ~潮風に吹かれて~
ヘッドマウントディスプレイを通してみる映像には、スプーンにおいしそうなエビが乗っています。が、しかし現実世界のスプーンの上には、、、コオロギが。※私にはもうエビしか見えていません。
スプーンを口に近づけるとヘッドマウントディスプレイに併設している「匂いデバイス」からエビの香ばしい匂いが発生。続いて口に含み咀嚼しているとヘッドホンから乾燥した桜エビを噛んでいるとき音が骨を伝います。
エビの映像を見ながら、エビの香り、そしてエビの食感と音を体感する、、、それはもう
「エビ」です。「エビの味」なんです。
一口目を終えて二口目は、エビの情報で本物の桜エビも食べましたが、どちらがコオロギでどちらがエビか、正直なところこの時の私には何が何だか判断できず、頭が混乱(20秒くらい)しました。脳は完全にエビだけを食べていると認識しています。
虫物の多い料理店の体験を終えて
日頃、いかに味覚以外の情報が食事を支配しているのかが身にしみてわかりました。同時に、昆虫食の無限の可能性も再認識できました。昆虫食は決してまずいわけではありません。正しい情報の提供と、おいしく感じさせる努力を今後も続けて行こうと思います。
慶應義塾大学のVRサークル『SVRC』の昆虫食関連の活動には今後もサポートしていきます。みなさんも機会がありましたら、『エビ味のコオロギ』もしくは『コオロギ味のエビ』を実食してみてください。たくさんの方が「コオロギは大好物!」と口にする日は近いです。