こんにちは、TAKEOインターンの阿部です。2020年3月10日、三重県松坂市でとあるイベントが開催されました。その名は「フェモラータオオモモブトハムシを食べる会」。今回はそのイベントレポートになります。
「フェモラータオオモモブトハムシを食べる会」とは?
5年前から毎年行われているこのイベントは、その名の通りフェモラータオオモモブトハムシ(以下、「フェモハム」)を採って食べることが目的で、主催は和歌山県に拠点を置く地域活性化支援団体「いなか伝承社」だ。
フェモハムは外来種であり、この三重県で定着、大発生してしまっているとのこと。更にその味は、非常においしいと聞いている。昆虫食の普及、外来種駆除、マニアックなコミュニティ作り(エスカルゴ体験もある)と、僕にとって一石三鳥のイベントである。
フェモラータオオモモブトハムシとは?
フェモラータオオモモブトハムシ(Sagra femorata)とは、甲虫目ハムシ科のとても美しい昆虫だ。本種は東南アジアの熱帯地方に生息する外来種であり、2009年に三重県松坂市で侵入が確認され、その後津市などに分布を拡大して定着している。
クズを主な食草とし、成虫は6~8月にクズのつるに産卵する。産卵されたクズのつるは虫こぶを作り、虫こぶの中で幼虫が成長し、越冬する。原産国ではマメ科の農業害虫となっている。日本では主に河川敷に分布しているため農業被害は発生していないが、これ以上分布を拡大させないよう、生きた個体の取り扱いには細心の注意が必要な昆虫である。
フェモラータオオモモブトハムシを採る
主催のいなか伝承社の田中さんのもと、総勢13名の参加者が三重県松阪市にある某スーパーに集合した。当日はあいにくの雨だった。
さっそく田中さんから採集方法のレクチャーが始まる。幼虫の入った虫こぶの実物を見ながら、採集方法を教わった。と言っても虫こぶの前後をハサミで切り取るだけ。非常に簡単だ。
その後、雨脚が弱まるのを待ってから採集ポイントの河川敷に向かった。泥や野茨の棘に苦戦しながら河川敷を進むと……
「……あった!!!」
開始間もなく第一声が響いた。その後も発見する声は続く。
「見つけた!崖のほうがある!」
「でかいのとった!」
思ったよりもたくさんあるし、見つけやすい。体験してみて感じたが、このフェモハムの採集は非常に容易であった。動かず、発見しやすく、場所も採集しやすい位置にあり、剪定ばさみ一本で採集できる。
自然の産物でここまで収穫しやすいものは、そうそうないのでは?こんなに簡単に採れるのであれば1度に大量に収穫できたのも納得だ。バケツ一杯に採れたところで終了の合図があった。
移動して次は虫こぶの解体作業だ。解体といってもハサミで虫こぶをこじ開けるだけで簡単である。中から繭が見える。繭を割ると白い体がでてきた。繭の木目の黒色と相まって非常に美しい。
フェモラータオオモモブトハムシを食べる
虫こぶをあらかた割り終え、いよいよ食べる。今回は外来種である昆虫を食べるため、移入や移送等に生じるリスクを回避する意味も兼ねて、採集した現地で調理に取り掛かった。
茹でフェモハム
ガスボンベを出し、まずは基本の茹でフェモハム。下処理はせず、沸騰したお湯に3分。さて、おいしいと噂には聞いていたフェモハムはどんな味がするのか。
……ミルキーでうまい。皮も歯切れが良く、中身はペースト状。豆類の芳香に近いにおいがあるが別に嫌ではない。何より舌に残り続ける強い旨味には驚いた。他の参加者からも「うまい」「そら豆みたい」「醤油も合いそう」など好評のようだ。
僕もこれまでに多くの昆虫を食べてきたが、この昆虫は上位に位置する。本当にうまい。最も注目すべきは、そのコクだ。中身がペースト状であることもあり、このコクは最後まで強く強く口に広がる。茹でフェモハムはあっという間になくなった。
フェモハムのバター醤油炒め
次にバター醤油炒めができた。その香りに食欲がそそられる。バター醤油とフェモハムの相性はすごく良い。バター醤油のパンチにフェモハムは負けていない。よりコクと旨味が濃縮されているように感じ、とてもうまい。
親子の参加者も二人で口を揃えて「うまい、これ好きかも」と言っていた。
フェモハムのチリソース炒め
最後にエビチリ。もとい、フェモチリだ。見た目はエビチリそのもので、見た目の出来栄えは最高である。しかし、皆の箸が伸びると……
「う~ん、合わない」
私もいただいてみるが、確かに合わない。味付け自体はエビチリのまんまなのだが、エビチリのソースをなめた後にフェモハムを食べているようで、別々に食べているのと変わらず一体感が無い。どうやらフェモハムの個性とエビチリの味がけんかしているようだ。
まとめ
フェモハムは、今ある一般的な食品たちに引けを取らないおいしさだった。味の個性が強く、様々な料理においても存在感が失われることなくマッチすると思う。まるごと使用した「がんもどき」や「つみれ」、「茶わん蒸し」などなど。夢は広がる。
本種は農業害虫になりうる外来種であるため安易な養殖は難しく、安定供給に大きな課題があることが惜しい。生態系や農業に悪影響を及ぼすことなく、そのおいしさを楽しめる方法を考えていきたいと思う。
最後に、いなか伝承社および参加者のみなさま、貴重な体験をありがとうございました。