今日は、昆虫食の代表的存在であるイナゴを徹底分析しましょう。イナゴとバッタはよく似ており、なにが違うのかと言われれば中々わかりにくいものです。イナゴは、直翅目・バッタ亜目・イナゴ科に属すると言われ、実はバッタとは親戚関係なんです。そりゃあ似ているわけです。
イナゴは災害をもたらすイメージ
イナゴのイメージはどこの国、どこの時代でもあまり良くなかったようです。日本では、イネを育てている最中にイナゴが大量発生し、農作物に甚大な被害を与えたため、すこぶる迷惑な存在として認知されていました。
また、外国では悪魔や災の象徴としても知られており、エクソシスト2(1977年)という映画でも大量のイナゴが悪魔の演出として用いられています。実際イナゴが大量発生し大移動をすると、太陽が出ていても暗くなるほど大群だったそうです。イナゴが通ると、その土地の豊かな作物は跡形もなく食い尽くされ、瞬く間に荒れ地へと変貌してしまうほどの威力なのです。
では、イナゴはどれくらい前から災いや呪いをもたらす存在として知られるようになったのでしょうか?
聖書に登場するイナゴ
実は、何千年も前から伝わる旧約聖書、その中の出エジプト記で既にイナゴについて記述されています。当時、エジプトの非情な圧制により奴隷として虐げられていたイスラエルの民を助け出すため、モーセを通してエジプトに災いがくだされました。その中の神の裁きの一つとして、イナゴが登場するのです。
主はモーセに言われた、「あなたの手をエジプトの地の上にさし伸べて、エジプトの地にいなごをのぼらせ、地のすべての青物、すなわち、雹が打ち残したものを、ことごとく食べさせなさい」。(中略)いなごは地の全面をおおったので、地は暗くなった。そして地のすべての青物と、雹の打ち残した木の実を、ことごとく食べたので、エジプト全国にわたって、木にも畑の青物にも、緑の物とては何も残らなかった。
– 出エジプト記、口語訳聖書より –
いっそのこと食べてしまえ!
そんな放っておけば人には害になる存在のイナゴですが、そのままにしないで、逆に食べてしまえば良いのだと先人は考えたのです。さすが!
長野県の田んぼでは害虫駆除としてイナゴを大量に捕まえ、それを調理して食べるという風習があります。イナゴの佃煮は特に有名ですが、串刺しや炭火焼でも食べられているそう。イナゴは、タンパク質やカルシウムを豊富に含んでいるため、栄養補給源として用いられていたとのこと。その他にも、戦時中や戦後の食糧難では、イナゴを食べてお腹を満たし、生きるのに必要な栄養をとっていたというのです。昆虫食は海外の文化ではなく、実はこの日本でも昆虫食は自然発生的に存在していたんです。
2000年前から昆虫食
実は、新約聖書でも2000年前には、イナゴを昆虫食として食べられていたという記述がありました。イエス・キリストが登場する直前、バプテスマのヨハネという預言者が宣教活動をしており、彼も荒野ではイナゴを食料としていたことが記述されているのです。なんと、2000年前から昆虫食は取り入れられていたんですね。
そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教を宣べて言った、「悔い改めよ、天国は近づいた」。(中略)このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。
– マタイ福音書、口語訳聖書より –
さて、あまりいいイメージのない、放っておけば害になるイナゴ。しかし、一度食べてしまえば、私たち人間が困ったときに助けてくれる、縁の下の力持ち的存在だったのです。
さあ、冒頭でお話したように、イナゴはバッタの親戚。ぜひ、– バッタ目ミックス 15g – から昆虫食をお試しいただいてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
【 祐 】1987年生まれ37歳 男
大学で英文科を卒業後、専門学校で宗教学を学ぶ。ボランティア活動等に積極的に参加し、様々な国際交流により、グローバルな視点で文化を考察するのが好き。現在、シンガポール人と、中国系ニュージーランド人と暮らしている。
仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマン、アメコミ等が大好き。