

TAKEOの研究開発担当の三橋です。ANTCICADAさんの「おうちでコオロギラーメン」が今日到着したので、早速食べてみました。TAKEOの僕以外のスタッフは何回か食べたことがあったのですが、僕はやっと念願叶っての初体験です。僕は普段あまりラーメンを食べないのでラーメンのことは詳しくありません。昆虫食の人間としての感想を今日ここにメモします。
コオロギラーメンはマジでうまい
麺、スープ、揚げコオロギ(イエコ、フタコ)、薬味がそれぞれ別の袋に入っていました。揚げコオロギにメッセージが入っているのがニクい。彼らのそういうところ、惹きつけられちゃいます。
まずはコオロギ練り込み麺を麺を観察します。やや粗めに挽いたコオロギが練り込まれている細麺です。袋から開けてみるとコオロギの香りはせずに小麦粉のいい香りがします。きっちり2分茹でてまずは麺だけ食べてみると、驚くほど食感がモチモチしています。麺、うまい。コオロギ粉末を入れた麺はボソボソになりがちなのですが(TAKEOのハードバグ開発ではかなり苦しみました)、さすがプロの製麺屋さんの仕事は違います。コオロギの香りは感じられませんが、とてもおいしい中華麺でした。
いよいよ別に温めておいたスープを合わせます。器に注ぐと、まずチャーシューの香りが強く感じられます。強い醤油と豚の香り。実際に口に含んでみると、コオロギ粉末っぽい香りが若干感じられるものの、やはり強く感じるのは醤油と豚の香りでした。「うまい醤油チャーシュー麺!」という印象でした。味に注目すると、強烈なうまみが感じられました(コオロギ出汁だけじゃなくてうま味調味料も効いてる感じ)。また豚脂と鶏油も効いているので、意外とこってりしたラーメンに仕上がっているなと思いました。
時間が経つと印象が変わってきて面白い
それから時間をかけて少しずつ食べ進めていったのですが、個人的には温度が下がってくるとこのラーメンの面白さがわかりやすくなるように感じました。だんだん醤油と豚の香りが落ち着いてきて、出汁感がわかりやすくなってきます。
するとコオロギ特有のやや植物的で上品な香りが明確に感じられるようになってきます。これはTAKEOの「昆虫煮干し 京都こおろぎ」を製造するときに感じられるものと同じ香りです。さらにここで椎茸の存在感にも気付きます。最初の「醤油チャーシュー麺」の印象とはガラッと変わり、上品な「和風出汁ラーメン」のような印象を受けました。
揚げコオロギから考えるコオロギラーメンのこだわり
付け合わせはとても豪華です。チャーシューとメンマがすごく大きくてうまい。ですが、特筆すべきはやはり揚げコオロギです。カリッカリに香ばしく揚げてあるんだろうなと想像していたのですが、思いのほかしっとりとしていました。
ここからは僕の仮説、妄想です。おそらく揚げコオロギは「コオロギ香味油」を製造する際の副産物だと思います。僕はここからコオロギラーメンのこだわりを感じました。揚げコオロギからは、コオロギ香味油で使用したと思われるタマネギなどの香味素材の香りが感じられました。ですが、焦げ臭はほとんど感じられませんでした。あまり強い熱をかけていないはずです。ふつうの発想では、海老ラーメンのようにコオロギを強くローストして香ばしさを出す方向になると思うのですが、これは全然そうじゃない。あくまでもコオロギを煮出した時の上品な香りとうまみを活かすような設計になっているのだろうと思いました。これは臭みの無い新鮮でおいしいコオロギを使わないとできないはずです。素材の特徴を活かした、絶妙な塩梅の作品だなと思いました。ANTCICADA、おそるべし。
佃煮もすごい。もうこれが昆虫佃煮のスタンダードでいいと思う
「昆虫の佃煮3種セット」も一緒に購入して、食べました。結論から言うと、全部めっちゃうまかったです。昆虫の佃煮のスタンダードはこれでいいと思ったほどです。
佃煮【コオロギ / 生姜】
【コオロギ / 生姜】はシンプルにうまかったです。くぎ煮のような感じでした。ただしこれは想定の範囲内でした。
佃煮【イナゴ / 紫蘇 / 青唐辛子】
【イナゴ / 紫蘇 / 青唐辛子】には驚きました。噛んでみると、イナゴらしい草のグリーンを感じます。イナゴの特徴をちゃんと残していてやるじゃないかと思っていると、何かが違うことに気付きます。僕がイナゴの風味だと思っていた要素は、いつの間にか連続性をもって青唐辛子と紫蘇に置き換わっていました。イナゴ、青唐辛子、紫蘇のこの調和はすごいです。ふつうのイナゴ佃煮よりよほどうまいです。青唐辛子は思いつかなかった!
佃煮【カイコ / ピスタチオ / カルダモン】
【カイコ / ピスタチオ / カルダモン】は、より大きな衝撃を受けました。噛んでみると、まずカイコ蛹特有の青いナッツに似た嫌じゃない部分のクセを感じます。その後、通常であればカイコ蛹特有の香ばしさに通ずるような(僕の苦手な)クセが来るはずなのですが、来ない。いつの間にかカイコ蛹のクセはピスタチオとカルダモンと一体になっていて、カイコなのかピスタチオなのかカルダモンなのかよくわからなくなり、最後までなんだかおいしいままに着地していきました。これも風味変化に連続性があって、なんかもうすごいです。このアイディアには嫉妬せざるを得ない!
さいごに
ANTCICADAさんのお手並み拝見、人生の先輩として評価してやろうという軽い意気込みで試食をしてみたのですが、打ちのめされました。脱帽です。コオロギラーメンも昆虫佃煮も本当にうまかったです。この昆虫食業界、まだまだポテンシャルがあるなと改めて感じました。僕たちもより一層気合を入れて頑張っていきます。