こんにちは、TAKEO実店舗スタッフ、伊藤と申します。
秋も深まってきた10月の中頃、野草生活のエキスパートであるのんさんを講師にお招きして、実店舗(西浅草)周辺の野草を観察する「浅草散歩」と、コラボメニューを一緒に食べながら野草を愛でるイベントが開催されました。その当日の模様を野草愛・昆虫愛を込めてご紹介いたします。
【開催日程】
日時:2023年10月15日(日)
◆#1 のんさんと歩く浅草散歩 (16:00~18:00ごろ)
◆#2 みんなで晩ごはん (提供は18:00~19:30)
◆#3 限定ランチ (提供は12:00~16:00)
場所:昆虫食TAKEO 浅草本店
のん🍀365日野草生活®️ プロフィール
「365日野草生活」をモットーに活動しているバイタリティ溢れる女性。明朗で分かりやすい解説に、初心者の方のふとした疑問にも優しく寄り添う素敵な観察会を全国で開催しています。ちなみに「365日野草生活」とは、毎日野草を食しているわけではなく、視覚や嗅覚など、5感をフルに使って毎日野草に親しんでいる、という意味をもつそうです。
note:https://note.com/365nitiyasou/
X(旧:Twitter):@365nitiyasou
Instagram:365nitiyasou
野草×昆虫 夢のコラボメニュー
今日という日のために生まれた限定コラボメニューは、野草とコオロギのキッシュをメインとしたワンプレート!
のんさんよりご提供頂いた野草『シロザ』をふんだんに使用したキッシュは、濃いほうれん草のような深い旨味と卵のやさしさ、コオロギの香ばしさが手を取り合ったような、心にも身体にも美味しい一品。
つけあわせの『ハチの子キャロットラペ』は爽やかな酸味とレーズンのほのかな甘味がクセになります。
香ばしいガーリックが口いっぱいに広がるカリッカリの『山形コオロギトースト』は、サラダと交互に食べると野菜の新鮮さも相まってエネルギーを補給している実感がモリモリ湧いてきます。
そしてこのプレートになくてはならないのが『カイコのビスク』!濃厚に薫るスープが、カイコ特有のまろやかな旨味を引き立てる非常に贅沢な一杯です。
こちらのプレートはランチとディナーの時間帯でお選び頂けました。
デザートには『サクラケムシのソルベ』をご用意。細かく砕かれた糞がアクセントの芳しいソルベは、まるで桜の花をそのまま口に含んだよう。付属のレモン果汁をかけるとがらっと引き締まった印象になる、一度で二度楽しめるデザートです。毛のモフモフ感も楽しめるトッピングのサクラケムシは、とろっと濃厚な美味しさに仕上がっています。
当日の様子
野草と昆虫の調べ、当日は朝からあいにくの雨模様。ランチのお客様も来てくださり店内は和やかな雰囲気でしたが、浅草散歩の開始予定時刻が近づくにつれて無事に雨が上がるかという不安はどうしても増していきました。
そして開始30分前、奇跡が起きました。雨雲がふいにどこかへ流れてゆき、爽やかな秋空が広がりだしました。実は店長が前日夜にてるてる坊主を制作し店内に設置していたのですが、こんなにピンポイントで効果があるのだとその日一番の衝撃でした。心からホッとしたことを今でも覚えています。
こうして無事天候は回復し、定刻通り16時からの楽しい浅草散歩は幕を開けました。
東武浅草駅前の広場から散策はスタートしました。交番前のクスノキに始まり、身近でよく見かけるものの直接触ったり匂いを嗅いだりしたことのない植物を、実際にそれらに触れ合いながら数多くご紹介いただきました。お散歩を楽しむためのポイントもピックアップしてくださり、その点も意識しながらの散策はとても刺激に溢れるものでした。
特に印象深かったのが「フレッシュ食痕の犯人は誰」という、出来て間もない食痕(いきものが植物などを食べた形跡のこと)を探してみようという試みでした。のんさんの見解では雨上がりはちょっと見つけにくいかも、とのこと。しかし散歩をはじめて30分ほど経った頃でしょうか、他の植物を押しのけて駐車場の屋根いっぱいに成長していたアサガオの葉に新しそうな食痕が…!古いものもあり、見較べると面白い発見がいくつもありました。
そして気になる食痕の主は…葉の裏にいました。まだ幼いホシホウジャクの子どもが一生懸命葉を食べるその姿は、とても庇護欲をかきたてられるものでした。
だんだんと日も傾いてきて、街はあかりを灯し始めました。浅草の家々に佇む植物たちも街明かりに照らされて、また違った様相を見せてくれます。廃屋の屋根に茂るノウゼンカズラ、葡萄のように美味しそうに輝く毒草・ヨウシュヤマゴボウ、とある会社の植え込みに茂る山椒の葉…。中には公衆トイレのすぐそばで元気に育つ大葉やバジルとの出会いもありました。
夢中で野草観察を楽しみ、気が付けば目的地であるTAKEO実店舗のすぐ近くまで来ていました。お店に入る直前、玄関脇でクモ博士(納谷様)によりヒラタグモの一種が発見される場面も。
タガメサイダーで乾杯したら、いよいよ「みんなで晩ごはん」のスタートです。本日出会えた野草は26種類にものぼりました。のんさんと今日のことを振り返りながら、料理が運ばれてくるのを待ちます。道中メモしていても、いざその名前を挙げようとすると出てこないのがもどかしい…。それでもビデオテープを巻き戻すように散策のことを振り返るのはとても楽しかったです。
全員に料理が行き届いたころ、改めてのんさんより普段の活動内容やご自身のことについて、彩り豊かな写真を交えてお話し頂きました。それぞれの野草の良さが余すことなく発揮された料理や作品たちに、のんさんの野草に対する確かな愛情を改めて感じました。また、クズの花とキクイモのお茶も今回のんさんにご提供いただき、締めのお茶として振る舞われました。クズはまろやかで優しい甘さを、キクイモはごぼう茶のような香ばしいおいしさを楽しませてくれました。
コラボディナーも参加者の皆さんにご好評いただき、楽しかった時間はあっという間にお開き間近に。店内にいた半数以上は一緒に2時間浅草を歩いた方々で、いつも以上に解散するのが寂しく感じてしまいました。店外での催し物が組み込まれたイベントは今回が初めてだったので、普段のお祭りとは少し異なる充実感があり、とても思い出深い一日となりました。
~野草と昆虫のしらべ~を振り返って
今までは風景の一部として捉えてしまっていた野草の世界を、この一日で随分と広げて頂いたように思います。
初めて名前を知るもの、体験して分かる植物たちの特性、浅草という街と野草とのかかわり。新鮮な体験ばかりで、まるで子供の頃感じていたワクワク感が蘇ったようでした。何よりのんさんのあたたかい人柄に、主催側であることを忘れかけるほどの安心感を覚えながら楽しませて頂きました。
また、コラボメニューにも使われている野草からは、日頃食べている野菜とはまた異なる美味しさと豊かさを感じ、昆虫食との相性の良さも改めて実感しました。
今回私は浅草散歩に同行させて頂けることになり、実際に参加者の方と街を歩いてみた時にお店の中で完結するイベントとは違う皆さんとの距離の心地良い近さに新鮮な感覚を覚えました。のんさんの楽しく好奇心を刺激してくれる解説を聞きながら、同じ道を歩き、同じ時間・景色・匂い・喜びを共有する。それらを繰り返すうち、主催側として不備の無い様振る舞おうと緊張していた気持ちが徐々にやわらぎ、皆さんといるその空間がどんどん心地良いものになっていったのです。のんさんの野草散策の魅力は、こうして様々な方と同じ時を過ごす幸せな思い出も含まれているのだろうなと感じました。
さいごに
長くなってしまいましたが、書き残しておきたいことはまだまだ尽きません。季節の変化によってもきっと風情の変わる野草散策。またどこかの機会でご一緒できたらとても嬉しく思います。
ご参加頂いた皆さん、そしてのんさん。忘れがたい1日をありがとうございました。