みなさんこんにちは、TAKEOの齋藤です。いきなりですが今回は「ポップコーン」のお話です。現在、昆虫食専門店にとってポップコーンが、思いがけず大切なコミュニケーションツールとなっています。
地域のイベントに参加してわかった、ポップコーンの偉大さ

私たちは毎年、いくつかの地域イベントに参加させてもらっています。大きなところでは2つ。浅草本店のお隣、東本願寺で毎年8月に開催される「東本願寺盆踊り」と、葛飾区・水元公園で10月に開催される「かわせみフェスティバル」です。
どちらも地域に根ざした温かいイベントで、恵まれたご縁をいただき、昆虫食専門店として出店させてもらっています。これらの地域イベントは、私たちにとって、地域の方々と直接言葉を交わせる大切な機会です。
私たちは昆虫食専門店です。最初の年、張り切って、いろいろな昆虫食を並べて準備万端。「これ絶対は盛り上がるぞ!」と思っていたのに、ふたを開けてみれば、誰も立ち止まらない。盆踊りではまったく昆虫食が売れませんでした。
昆虫食と「お祭りの空気」がまったく噛み合っていないことを痛感しました。
「どうしたら地域の人と自然に話せるだろう?」そう考えた私たちが、提供を決めたのは、ポップコーンでした。
結果は驚くほどシンプルで、そして圧倒的です。ポップコーンが、あっという間に完売です。お祭りに来ているみなさんは「お祭りを楽しむ」ために来ている。その場で求められているのは、特別な体験よりも、気軽で楽しい時間です。
そこにポップコーンがあれば、それでいいのです。子どもたちは目を輝かせ、大人たちは笑顔になります。自然とそこに人の輪が生まれていきました。
会話が生まれるスナック、それがポップコーン

ポップコーンは、ボリュームがあり、そして何より安心感があります。誰にとっても身近で、手軽で、少しだけ特別感のあるスナックです。おもしろい発見は、ここからです。おいしいポップコーンを提供していると、次第にリピーターさんが現れます。
「また来たよ」
「ここのポップコーンが好きだ」
そんな一言から、少しずつ会話が増えていきます。そこから、こんな質問が生まれます。
「このお店、昆虫食もあるの?」
「ポップコーンにも虫が入ってたの?」
お客さんのほうから話しかけてくれるこの瞬間が、私たちにとっての一番のコミュニケーションのきっかけです。そこから自然に、昆虫食の話が始まります。
「実は、私たちはすぐ近くの昆虫食の専門店なんです」
「へえ、そんなお店があるんだ!」
「あそこの人か!」
「あのお店、ずっと気になっていた!」
などなど。
おいしいポップコーンを通して生まれる会話は、挑戦ではなく、興味として昆虫食へとつながっていきます。次第に、私たちがどんな思いでお店を続けているのか、なぜ昆虫食をしているのか、そうした話にも耳を傾けてもらえるようになります。
そんな流れで、やがて「じゃあタガメサイダーも飲んでみようかな」と言ってくださる方が増えていきました。ポップコーンが、昆虫食への入口になったのです。
食の保守性を超える「共感」
人は、食べものに対してとても保守的です。お金を払って食べるものですから、絶対に失敗したくないと思うのは当たり前のこと。とくに知らない食材には身構えてしまうし、見たことのないものについ警戒してしまうのも当然だと思います。
これは決して悪いことではなく、むしろ、食に誠実だからこそ生まれる自然な反応だと思います。だからこそ、私たちはまず「おいしい」「楽しい」という共通のコミュニケーションから始めたいと日々心がけています。
ポップコーンはまさに、その「共通の入口」をつくってくれます。
お祭りという日常から少し離れた場所で、気軽に食べられるおやつを通して、「これおいしいね」「いい匂いするね」と笑い合う。そんなやり取りが生まれるだけで、空気が少しやわらかくなります。
安心できる食べものがある場所には、笑顔が生まれ、会話が生まれます。その会話の中でこそ、昆虫食という少し不思議な世界がやさしく開かれていくのだと考えています。
ポップコーンは「売るためのもの」ではなく、「話すためのきっかけ」。そこに立ち止まり、言葉を交わしてもらうことが、私たちにとって1番大切なことなのかもしれません。
昆虫が入っていなくても、昆虫食の話に


私たちのポップコーンには、昆虫は一切入っていません。それでも、ポップコーンをきっかけに昆虫食の話が生まれます。この一見矛盾した現象こそ、昆虫食に馴染みがない方と私たちが、つながるための理想的なコミュニケーションの形だと感じています。
食べるという行為はとても個人的で、同時に社会的なものでもあると思います。だからこそ、私たちは無理に挑戦を促すのではなく、楽しい時間を共有することを大切にしています。
ポップコーンは、ただのスナックではありません。昆虫食を語るための共通言語になり、私たちにとっては、ちょっとした幸せの象徴でもあります。香ばしい匂いの向こうに、笑顔と会話が生まれる。昆虫食の話も、またやさしく始まっています。























