佐伯真二郎蟲喰ロトワ
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蟲喰ロトワこと佐伯真二郎とは?インタビュー

みなさん「蟲喰ロトワ(むしくろとわ)」を知っていますか?

蟲喰ロトワとは、食用昆虫科学研究会の理事長である佐伯真二郎さんの別名です。その名の由来は、「風の谷のナウシカ」の登場人物であるクロトワと佐伯さんの顔が似ていることからきているのだとか。

そんな蟲喰ロトワこと佐伯真二郎さんに、昆虫食との出会い、食用昆虫科学研究会発足の経緯、自身の現在の活動などのお話を聞いてきました。私は佐伯さんにお会いするのが初めてで、ブログの写真(クロトワ?)の情報しかなかったので、どんな人なんだろうとドキドキしながら臨んだインタビューをレポートします。

▼ 目次

  • はじまりは冷蔵庫の中にいたショウジョウバエ
  • 「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか?」から「なぜ昆虫が食べられていないのか?」そして、その先へ
  • きのこ図鑑のような「昆虫図鑑」を目指して
  • バッタのフンを利用して、昆虫食の作品をつくる
  • まとめ

はじまりは冷蔵庫の中にいたショウジョウバエ

ー 佐伯さんと昆虫食の出会いを教えてください。

私が初めて昆虫食を食べたのは、母方の実家がある岐阜県でのことでした。子供の頃、家にできたアシナガバチの巣をおじいちゃんと一緒にとって食べた経験があります。ですが、積極的には食べていたわけではありません。

2008年に大学生だった私は、「ショウジョウバエの遺伝子と味覚の研究」をしており、遺伝子の組み換えをしたショウジョウバエを冷蔵庫で飼っていました。その時に、

「なんで昆虫に食欲が湧かないんだろう?」

という疑問が湧いたんです。ハエはよく増えるし、飼うのも簡単だし、「食用としていけるんじゃないか?」という気持ちになったと同時に、

「いや、こんなの食べたくないよ。」

と思ったんです。

「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか?」から「なぜ昆虫が食べられていないのか?」そして、その先へ

ー 佐伯さんでも最初は「やっぱり食べたくない」と思ったんですね。

そうなんです。「食べたくないよ。」がきたんです。

でも、「あれ?なんで食べたくないと思うんだろう?」と気にかかり、インターネットで調べてみたんですね。そうしたら、内山昭一さんの「楽しい昆虫料理」という本があるのを知って、同級生と院生の先輩たちに「食べてみようよ。」と声をかけたんです。

ちょうどその時にゴキブリの神経系を調べている研究室があり、その研究室にペットとして飼われていたマダガスカルオオゴキブリという大型のゴキブリがいたんです。それを数匹わけてもらって、「楽しい昆虫料理」のレシピに沿ってマダガスカルオオゴキブリを揚げ、スープカレーにいれて食べてみたんです。そうしたら、満場一致で

「これは美味しいぞ」という意見になりました。

そこから「じゃあ、なんで食べられていないの?」というところに興味が移っていき、次第に昆虫を食べ慣れてくると、昆虫をみるだけで自然に食欲が湧くようになりました。私の疑問は「なぜ昆虫に食欲がわかないのか?」から「なぜ昆虫が食べられていないのか?」へシフトしたのです。

そして、現在はその先の「昆虫を食べるようになった社会、未来はどのようなものになるのか?」というところを研究しています。

きのこ図鑑のような「昆虫図鑑」を目指して

ー ブログ「蟲ソムリエへの道」を始めたきっかけはどんなことだったのですか?

私の学術研究になる部分のメインはトノサマバッタですが、ブログでの活動というのは主に学術研究にならない部分の研究や挑戦を扱っています。

そもそも、昆虫を食べようと思った時に、「どれが美味しくて」「どれが美味しくないのか」これらのそもそもの情報がない。その時にちょうど手に入れたのがきのこ図鑑だったんです。

きのこ図鑑をパラパラっと見てみると、「食べれる、食べれない」、「美味しい、美味しくない」、「毒あり、毒なし」そして、料理の方法まで書いてるんですね。

「ああ、これは羨ましい。昆虫もきのこ図鑑と同じように味の項目があるものを作りたい!」

と思い、昆虫の味見結果のブログを書き始めたのが最初です。揚げたり、オーブン焼き等で調理してしまうと味が変わってしまうので、調理方法は統一して、茹でることにしています。もちろん昆虫の種類、性別をきちんと確かめていますよ。

現在ブログに記載しているものは350種ほど。成長段階の幼虫やさなぎ、成虫を含めると500種以上の昆虫を味見してきました。非常にバリエーションが多いんです。

また、「美味しいきのこは養殖されている」という経緯がありますので、同じように美味しい昆虫が見つかったら、養殖して家畜化しようという方法を同時に考えています。

そのうえ、昆虫はきのこに比べると毒きのこのような、毒を持つ種類はとても少ないので、大抵の昆虫は食べられます。きのこ以上にポテンシャルが高い食材なのです。

バッタのフンを利用して、昆虫食の作品をつくる

ー なぜ、昆虫食をみて楽しむ「昆虫食展」というアイデアが生まれたのですか?

私が昆虫食の活動をする中で、学術研究からも、ブログのジャンルからも少し外れたバッタのフンをつかったお面を制作したことが最初です。

きっかけは、バッタのフンです。「バッタを養殖する未来」を考えながら研究していた2013年頃、研究のためにバッタをたくさん飼っていました。そうするとフンがものすごく出るんですね。

バッタは1日に体重の1.5~2倍の草を食べるので、草取りと、草やりでてんてこ舞い。すごく大変です。大体バッタを100gとろうとすると、約1kgのバッタのフンが出ます。バッタを養殖する未来というのは、バッタ以上にバッタのフンが生まれ、下手するとそのフンがごみになってしまう。

そこで、バッタを養殖している未来においては「バッタのフンを何らかに活用をしているだろう」というふうに考えました。その中の一つとして、「バッタのフンを使った工芸品」があり、その集落では「バッタのフンを使って謝肉祭」を行うだろうと。そして、お祭りには「お面」が付きものだろうと考えたわけです。これは研究ですら無く、ただの思いつきなんです。それで作ってみたのが

佐伯真二郎蟲喰ロトワ

「バッタのフンを使ったお面」

なんです。バッタのフンを利用して紙を作ったり、フンから色を煮出して糸や布を染めたり、粘土にしてみたりしています。そうすることによって、虫としてのバッタそのものだけではなく、バッタを養殖する生産システムそのものも評価できるのではないかなと思います。

ー なるほど、昆虫の養殖化をするだけでなく、その先の資源を再利用したシステムと昆虫食の文化という将来を見据えた上の昆虫食展だったんですね。

まとめ

今回のインタビューはここまで。私が佐伯真二郎さんとお話させていただき「好奇心」と「行動力」の人だと感じました。彼は「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか?」という昆虫食への興味から、実際に食べてみて、昆虫食を愛するようになりました。そして、今後の社会において昆虫食はどのようになっていくのかを研究し、具体的に形にしようと活動されています。

佐伯真二郎さんとしての食用昆虫科学研究会の活動や、蟲喰ロトワとしてのブログ活動、そして昆虫食の先の先を見越しての昆虫食展等、それらは別々のものではなく、一貫して昆虫食の可能性への純粋な好奇心と、その研究からうまれたアイディアの上に成り立っているのだと考えさせられました。

次回は、食用昆虫科学研究会発足と現在の活動について詳しく伺います。佐伯さんの素顔も公開!!!

この記事を書いた人

】1987年生まれ30歳 男
大学で英文科を卒業後、専門学校で宗教学を学ぶ。ボランティア活動等に積極的に参加し、様々な国際交流により、グローバルな視点で文化を考察するのが好き。現在、シンガポール人と、中国系ニュージーランド人と暮らしている。

仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマン、アメコミ等が大好き。

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