まゆ刺し 蚕の繭 繭のお刺身
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やばくて新しい昆虫食。その名は「まゆ刺し」

齋藤

代表の齋藤です。やばい昆虫食ができた!ということで、思いがけずにツイッターでバズりました「まゆ刺し」ですが、どんだけのやばさなのかをお伝えできたらと思います。

思いがけずにバズった10月9日のまゆ刺しツイートはこちら。

まゆ刺しツイートがバズった

10月9日(土)、営業開始直前に店舗限定の新メニューをお知らせするツイートをしました。この投稿が3日間で約6,000件のいいね、約3,000件のリツイートを獲得することになります。フォロワー数が4,000人のTAKEOとしては大事件です。この反響の大きさは正直予想外でした。

実は前々日の10月7日にタガメサイダーのグッドデザイン賞 受賞の発表があり、社内はこの対応に追われていました。まさかその話題を超える反響が起きるとは思ってもいませんでした。それほど、このツイートはTAKEOの中では平熱感を持って新メニューをお知らせするものでした。

「新しい昆虫食」、「繭を刺身感覚で楽しめる」、「やばい昆虫食」、「新感覚の体験」という少ないワードだけで、興味を持ってもらった新メニューのまゆ刺しですが、どんな内容が詰まった料理なのか説明していきます。

まゆ刺しとは何か?

まゆ刺しとは、浅草にあるTAKEOの実店舗「TAKE-NOKO」で提供を開始した蚕の繭を使用した料理です。価格は480円(税込)。高級料理としてではなく、一般的なお刺身と同じように気軽に楽しめる料理にしたく、この価格に決めました。現在は、土日祝の限定メニューです。

調理工程も至ってシンプル。茹でるだけ。茹でて冷水で締めた蚕の繭を小ねぎとわさびと共に盛り付け提供しています。食べ方もシンプルでお醤油を付けて楽しむというものです。

その味は通常の繭からは想像できない食感と風味で、例えるならイカの透明感にクラゲの弾力、わずかな桑の香りを楽しめる一品です。まさに美味。

実は、まゆ刺しとして食べられる繭は、どんなものでも良いというわけではありません。まゆ刺しで使用している繭は「セリシン繭」という、セリシン純度が98%を超える特別な品種です。

一般的な繭は、絹(シルク)の原料となるフィブロインが75%、その周りを覆うセリシンが25%という2つのタンパク質からできています。しかし、今回まゆ刺しで使用してるセリシン繭は、フィブロインが1.5%、セリシンが98.5%という特別な繭なのです。

フィブロインもセリシンも食品原料として流通しており、食べることができます。消化吸収しやすいように加工して食べる方法は、これまでにもたくさんありました。良質なタンパク質でもある繭は嫌な風味もなく、パウダー状の商品は健康食品としても人気があります。

栄養を摂る目的だけでなく、おいしく食べる方法を今回見つけました。茹でて冷水で締めてお醤油を付けてそのまま食べる。それが「まゆ刺し」です。

セリシン繭左が一般的な繭、右がセリシン繭

まゆ刺しの何が「やばい」のか。開発裏話

2022年の夏、TAKEOでは蚕の中でも繭の98%以上がセリシンという「セリシン繭」に着目し、その商品化を進めていました。しかし、社内は行き詰まっていました。

セリシン繭は風味の特徴が弱く、他の材料と混ぜても何がなんだかわからない。常温流通できるように加工するアイディア、スイーツにするアイディア、様々なアイディアと意見が飛び交いました。しかし、どれもしっくりくるものが見つからず、メンバーの表情が曇り始めていました。

時は遡り、2014年の秋、昆虫の食材としてのポテンシャルに胸が躍り、勤めていたパスタ専門店を辞めた私は、昆虫食で起業しました。昆虫の食材としてのポテンシャルというのは、私が生まれ育った三陸の海の幸のように昆虫も食されることができるだろう、という期待のことです。

宮城県気仙沼市出身の私は魚介類を食べて育ち、中でも大好物は歯ごたえのある食感の良いものです。大トロのマグロなんかは今でもあまり好みではなく、食感の良い貝類やエビ、ホヤ、タコ、イカ、マンボウ、もうかの星のお刺身が好きです。新鮮な海の幸を楽しめる気仙沼の朝市は、何よりも楽しかった記憶があります。

18歳で上京し、一人暮らしの生活が始まると冷凍食品やジャンクフードにハマります。いま思えば冷凍食品とジャンクフードに生活を支えられたといっても過言ではないなと思っています。けれど、そんな時でもなにか嬉しいことがあって自分だけでお祝いする時は、スーパーの鮮魚コーナーへ行き、新鮮な魚介類を買ってお刺身として楽しんでいました。今でもスーパーの中で1番心が躍る場所は、生鮮食品売場の中の鮮魚コーナーです。

そんな背景があり私の中の最強の食べ物は、食感の良いお刺身。新鮮な食材を新鮮なうちにシンプルに調理して、お醤油で食べる。これが最強の食べ物だと思っています。手をかけておいしく調理された料理は、どこかもったいない気持ちさえ覚える自分がいます。

私の中に「お刺身でおいしいということは、あの料理にしたらもっとおいしいだろう」という考え方はありません。お刺身として食べるのが頂点なのです。お刺身が頂点で「その他にもおいしく食べることができる調理法もあるだろうな」という考えなのです。お刺身の味わいこそが食の醍醐味であり、贅沢だとも思っています。

起業から9年目の2022年夏にもどり、セリシン繭と向き合います。

セリシン繭は風味の特徴が弱く、他の材料と混ぜても何がなんだかわからない……でもどうしても繭は食べたい……繭を食べるという体験はどうしても形にしたい……届けたい、原点にもどれ……原点にもどれ……。

ちょうどその頃、店舗では「ホヤ祭り」というイベントを行っていました。ホヤは私の生まれ育った三陸の海産物で、私が思い描く昆虫食のあるべき姿のモデルとも言える食材です。

東北の一部では当たり前に食されているホヤですが、全国的にみると昆虫と同様に珍しい食べ物。昆虫食専門店として新鮮なホヤをお刺身として提供して、昆虫食とはなにか?食とはなにか?をお客様と一緒に考えたイベントでした。

考えました。ホヤ祭り、ホヤのお刺身……原点……。あ、刺しじゃん。繭も茹でて氷で締めてお醤油で食べたい。これが最強じゃん。まさにこれ。これがやばい。まじでうまい。イカの透明感、クラゲの弾力、わずかな桑の香り。透明に輝く美しい繭。シンプルイズベスト。茹でたての繭を氷で締めてシンプルにいただく。これこそが食の楽しみだ。シンプルにして頂点。

2014年に昆虫のポテンシャルを感じた以来の興奮を覚えました。

そして誕生しました。「まゆ刺し」です。蚕の繭をお刺身感覚で食べられる日が来たのです。これはとてもやばいです。やばい以上の言葉はありません。三陸の海の幸と並べても違和感のない料理が完成したのです。これは私の昆虫食起業のルーツに直結する出来事です。

まゆ刺し 蚕の繭 繭のお刺身

まゆ刺し今後の展開

まゆ刺しの原料となるセリシン繭を作る品種は、既存品種に比べて繭が壊れやすく、養殖や収穫に特別な手間が必要であると言われています。現在提供しているものは、取引のある養蚕農家さんからたまたま買い入れることができたものです。今後の養殖や出荷の計画は未定であり、蚕種(セリシン繭を作る蚕の卵)についてもTAKEOで直接販売する予定もありません。

今後、まゆ刺しの形も変わっていくかもしれません。未定ばかりの始まりで恐縮ですが、手持ちの在庫がなくなるまでは、今のまゆ刺しをお楽しみいただければと思います。

まゆ刺しをどうぞ

まゆ刺しを食べてみると繭を食べているという不思議な体験の先に、他の料理に合わせるアイディアがどんどん生まれてくると思います。みなさんにもまゆ刺しを通じていろいろな楽しみ方を想像していただければ嬉しいです。そのためにもまずは「まゆ刺し」をどうぞ。

昆虫食TAKEO 浅草本店のご案内

昆虫食TAKEO 浅草本店 東京の昆虫食お店 昆虫食 店舗 実店舗 関東 古民家昆虫食 TAKE-NOKO
営業時間 平日:12:00-19:00
土・日・祝:12:00-20:00
定休日 火曜・第1土日
臨時営業・休業 →必ず店舗営業日カレンダーをご確認ください←
住所 111-0035
東京都台東区西浅草1-3-14 2F
アクセス 東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩3分
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