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遠くの昆虫よりも、身近なホヤ。

TAKEO

TAKE-NOKO「ホヤ祭り」

TAKE-NOKOでは、ホヤのシーズン中(8月まで)毎月1回「ホヤ祭り」を開催します。宮城県南三陸町の漁師さんから直接ホヤを仕入れ、店内で調理して提供します。お刺身、ホヤ飯、塩辛に宮城県の日本酒もご用意します。
第1回は2022年4月8日に開催しました。第2回は2022年5月6~7日の2日間で開催します。
ホヤ祭り

なぜTAKEOがホヤに向き合うのか?

昆虫食専門のTAKEOがホヤに向き合うようになったきっかけは、TAKEO代表の齋藤の出自にあります。齋藤は宮城県の気仙沼出身です。気仙沼を含む三陸海岸はホヤの一大産地であり、そのためホヤは宮城県(2020年 ホヤ漁獲量全国1位!)ではごく一般的に食べられているふつうの食材です。もちろん齋藤も日常的に食べてきました。

齋藤は岩手県宮古市の海上技術学校を卒業してから上京するのですが、そこで初めて東京ではホヤがマイナーフードであることに気づきます。マイナーフードどころか、嫌悪感を覚える人さえいました。東京ではホヤはふつうの食材ではありませんでした。

しかし、これは「東京ではホヤがふつうの食材ではないと考える人が多い」というだけの話です。地域が変わればふつうの食材であり、東京を含む全国各地に(少ないかもしれないけど)コアなファンが確実に存在しています。ホヤは長く食べられてきた歴史があり、個性的でちゃんとおいしい食材です。冷静に見れば別に特別にグロテスクな見た目をしているわけでもありません。栄養的にも高タンパク低脂質の食材です。

なんとなく、昆虫食との共通点が多いように感じてきました。そこで私たちはホヤをもう少し深掘りしてみることにしました。もしかしたら昆虫食をより深く理解できるようになるかもしれないと期待して。

ホヤとはいったい何者?

ホヤとは何者でしょうか。分類学上では、脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱に属する動物です。貝でもなければ甲殻類でも昆虫でもなく、脊索を有する、実はどちらかというと人間に近い動物です。感覚的には理解しにくい不思議ないきものです。

その生態も不思議で、ホヤは「変態」をします。幼生期には魚のような形をしていて海中を泳ぎ回りますが、その後変態をして海底の岩などに植物のように根を張りもう2度と移動しなくなります。

さらに、ホヤは動物であるにも関わらずセルロース(「ツニシン」という動物性セルロース)を合成することができます。私たちが見るホヤの外側の部分は被のうと呼ばれる硬い膜であり、これがセルロースを主成分として形成されています。私たちはこの被のうを割って中身を食べています。

魚のようで、貝のようで、植物のようで、実に不思議な生きものです。
殻付きホヤ

ホヤの食べ方

ホヤはその複雑な風味から、5つの味覚「甘み、塩み、酸み、苦み、うまみ」を兼ねそろえた稀有な食材といわれています。夏が旬で、その特徴的な外観から海のパイナップルとも称されます。日本ではホヤは平安時代から食べられてきたと言われ、現在は主に東北と北海道で親しまれています。

ホヤは鮮度が命であり、水揚げから時間が経つとその独特の風味がきつくなっていきます。ホヤの風味が苦手という方は、もしかしたらより鮮度の良いものを食べたら印象が変わるかもしれません。

さばき方など詳しくはこちら「ほやほや学会監修 ほや取扱指南書」
https://hoya-hoya.com/wpHG/wp-content/uploads/2019/03/hoyashinansho.pdf

剥きホヤ

南三陸町 佐々木さんのホヤ

ホヤの仕入先は南三陸町で漁業を営む佐々木優太さん。齋藤の海上技術学校時代の同級生です。カキの養殖が主ですが、ホヤの養殖も営んでいます。ホヤは山と川から流れてくる栄養をもとに三陸の海でゆっくり時間をかけて成長し、3年目に収穫をします。

いきなり全国各地へ届けたいっていうより、少しずつでも着実に地元のおいしさを伝えていきたい。カキにしてもホヤにしても一回でも食べてもらうとまた注文をもらえるから、おいしいものを作ってる自信はある。口コミからの注文も増えてきていて嬉しいし、それを励みにして大切に育ててる。(佐々木さん)

佐々木さん
佐々木さん
ホヤ養殖

遠くの昆虫よりも、身近なホヤかもしれない。

私(神奈川県出身)は今回の企画を通じて、初めてホヤを食材として意識することになりました。今までは食べたことがあるのかどうかさえ記憶になく、そもそも興味がありませんでした。

しかし情報収集したり実際に食べたりすることで、ホヤは非常に魅力的な食材であることを知り、少しずつホヤ食文化に共感するようになりました。ホヤにはホヤにしかない風味があり、食感があり、見た目があり、他のものに代えることができません。そんな唯一無二の個性は、食材として過小評価されているのではないでしょうか。

さて、昆虫食は昨今ブームと言われたくさんの商品が販売されています。そのうちの少なくない商品が昆虫の風味や存在感をできるだけ消す方向に進んでいます。本来昆虫には昆虫にしか無い風味、外観や食感、他に代えることができない食材としての魅力があります。昆虫を食べる理由を考えるとき、そのような魅力がもっと評価されるべきだと私は考えています。

人間は効率的な栄養摂取のためだけに食品を選択しません。食はエンターテインメントであり、文化です。

健康的な陸地と健康的な海がある限り、無理のないホヤ養殖は持続可能なタンパク質生産であるように思います。その一方で、食用昆虫の養殖が必ずしも持続可能な形で実施されているわけではありません。

もしかしたら我々は新しい食に目を向ける前に、既にそこにある身近な食にもっと興味を持つべきなのではないでしょうか。まずは知ることから。食の本質というものは案外そういうところから見えてくるものかもしれません。

文責:三橋亮太

参考文献:
◯ほやほや学会
https://hoya-hoya.com/
◯産総研マガジン「その道20年の研究者が語る、実はすごい「ホヤ」という生き物の秘密」
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/bb0027.html
◯宮城県「宮城県の伝統的漁具漁法Ⅸ 養殖編(ホヤ・ホタテガイ)」
https://www.pref.miyagi.jp/documents/25039/309093.pdf
◯生物工学会誌 第94巻第10号「脊椎動物誕生のカギを握る生物:ホヤ」
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9410/9410_index.pdf

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